Category Archives: サービス考察

Facebookの「Workplace」がHR領域にもたらすもの



以前からFacebook at Workという名称でβテストを行ってきたFacebookのエンタープライズ向けサービスである「Workplace」が公開されました。Newsfeed、Group、Event、MessengerやCallsなど、投稿の範囲が導入した組織内に限られるという点以外は通常版Facebookとほぼ同様の使い方が可能で、プライベート用のFacebookアカウントと切り離されている点がなるほどなと。

Workplaceの特徴

まだ中身を触れてないのですがグループ機能がこのサービスの肝で、サイトの情報を見る限り特徴的なのはこのMulti-Company groups機能。グループでは文字投稿や写真、ファイル共有が可能で、社外の人を招待することで組織を超えたコラボレーションが可能とのこと。企業向けサービスは組織を超えたネットワーク効果が生まれにくいのですが、勝手に導入企業を増やせるバイラル性を持つ機能を付加したのがFacebookっぽいですね。

他にはAdmin画面で分析機能もしっかり実装している抜け目のなさも感じます。Workplaceは情報共有の効率化や風通しの良さといった定量化しにくい効果を求めて企業が導入するはずで、Workplace内でモニタリングできる利用率や組織コミュニケーションの絶対量をBefore/Afterで数値化したマーケティングができる。

導入企業はどんな効果を感じているか

おそらく前進のFacebook at Workの頃から使っている企業も多分に含まれているのでしょうが、既に世界で1000社以上が採用しているWorkplace。Booking.comやDanone、TBWAといった大きな組織もサービスを活用しています。サイトに掲載されている事例をまとめると、従来の社内メール、特にトップからのメッセージを配信する場合と比較するとコミュニケーションのインタラクティブ性が増し、情報伝達スピードが増し、拠点を越えたコラボレーションが可能になり、社内にあるスキルやナレッジが可視化される、といったところでしょうか。

Workplaceを取巻く今後の展開等々

学習コストの低さがペネトレーションへ与える影響

新しい社内コミュニケーションツールを導入するより、使い慣れたFacebookのインターフェースを踏襲するWorkplaceは圧倒的に学習コストが低い。導入効果は頭で分かっていても「どうせ社内のおじさんは使いこなせない」という理由から同様のツール導入を遠ざけてきた企業にとってはハードルが一気に下るのかも。一方で打倒Slack文脈でWorkplaceを紹介しているメディアが多いけれど、Workplaceは全社導入前提のサービスである気がなんとなくするので、エンジニア部門単独で導入の意思決定ができるSlackよりは成長スピードが遅い気がする。

組織の人間関係データ

本家Facebookは興味を持つと思われる投稿を選別しフィードに表示するアルゴリズムを実装していますが、同様に個人間の関係性データを活用した機能をWorkplaceでもおそらく出してくるはず。Likeの頻度、コメントの内容、フィードをスクロールする速度から職場の人間関係を推察し、組織へのエンゲージメントや組織構築に関するヒント、人事評価に活用できるデータに成形することができれば結構インパクトが大きいのでは。

3rd Partyの巻込み

Zyngaを始めとする3rd Partyのゲームで一気に成長したFacebookだけに、Workplaceもこのプラットフォームを活用したバーティカルのサービスに対する門戸をどの程度開くのかは注目したいと思っています。

お知らせ

運営しているFacebookグループで、最近ちょこちょこと勉強会を開くようになってきました。オンライン上での知識だけでなく、起業家/エンジニア/VCのリアルな繋がりが生まれるグループに少しずつ変えていこうかと思っています。B2Bまわりのスタートアップ界隈にご興味のある方はぜひ。
B2B Tech Research


血液ガン検査や有色人種MCNに投資ーーAndreessen Horowitzの投資実績(2016年6月編)


梅雨明けを疑う炎天が続き、いよいよセミの鳴き声まで聞こえるようになった7月初旬。ちょっと書くのが遅くなりました。直下のリストもたいぶ長くゴチャゴチャになってきたので、そろそろ見やすく整理せねばですね。それではさっそく行きましょう。

TOP of ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzの投資実績(2014年7月編)
TOP of ベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzの投資実績(2014年8月編)
人工知能ミニカー、ノマド向け検索エンジン他Andreessen Horowitzの投資実績(2014年9月編)
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有名ハッカー創業のAI運転や新興国向けモバイルバンキングに投資ーーAndreessen Horowitzの投資実績(2016年3月編)
個人投資家向けトレーディングツールやドローン向けセキュリティに投資ーーAndreessen Horowitzの投資実績(2016年4月編)
学生向けプログラミング学習ゲームや人事評価プラットフォームに投資ーーAndreessen Horowitzの投資実績(2016年5月編)

Freenome(シード投資)

“Liquid biopsy diagnosis platform”という見たこと無い文字列が登場しただけでどんなスタートアップなのか深掘りする心が折れそうになりましたが、要は血液でガン検査を行う基礎技術を持つ会社。ガン患者は血中循環DNA(Cell-free DNA)の量が健常者より多いことが報告されており、従来型検査のように穿刺や疑わしい患部を摘出することなく血液検査でガンの判定ができるらしい。Freenomeはコンピュータサイエンスと生物学の力を合わせガンの部位特定を行うことにも挑戦している模様。スゴイ。今回のラウンドはData CollectiveやFounders Fundなども協調投資。

Mediachain(シード投資)

デジタルな制作物にトレーサビリティを与えるブロックチェーンスタートアップ。コンテンツのメタデータを分散型ネットワークで共有、著作権管理団体のような中央集権期間の必要なくコンテンツの製作者が自己の制作物のライセンスを管理できるようになるとのこと。シードなのでまだなんとも言えませんが応援したくなる系のやつだ。

Barefoot Networks(シリーズC投資)

プログラマブルネットワークのソフトウェア&ハードウェアを開発するインフラスタートアップ。先日、世界最速をうたうプログラマブルネットワークスイッチ向けのチップを発表。ネットワーク管理者はチップを導入しソースを書き換えることでネットワーク上のロードバランサやファイアウォールを置き換えたりすることができるとかなんとか。今回のラウンドで累計$132.35Mの調達。

Within(シリーズA投資)

VR映像視聴プラットフォーム及びVR映像制作・配信を行うスタートアップ。もともとはVrseという名前だったのだけど、何て読むのか分からないという問題が多発していたため今回の調達発表を期に名称変更。a16zはVrse時代の2015年10月に一度投資しており、前回記事を書いて以来久々にサイトを開いたのだけど、以前は2,3個しかなかった気がする動画の種類が結構増えてました。個人的には海中映像のVRがとても好き。

Anki

今回のラウンドで累計$157.5Mを調達した人工知能ミニカーを開発するスタートアップ。2014年の前回ラウンド時点では自律走行し走る度に改善するミニ四駆のようなデバイスを開発していましたが、新たにCOZMOというブランドの玩具を出す模様。COZMOはピクサーの映画に出てくるような、AIで制御された様々なインタラクションを行う車型ロボット。$180となんとも絶妙な値段設定!

All Def Digital(シリーズB投資)

自分のメディアでもコンテンツをディストリビューションを行うミレニアル世代向けMCNって言ったらいいのかな?Youtuber、ライター、俳優、ヒップホップアーティストを発掘・マネージし、自分たちのサイトやTV、映画、ライブイベントに出演させブランドコンテンツで稼ぐスタイル。所属するアーティストは有色人種(主に黒人)でCo-founderはラッセル・シモンズ。この投資は絶対Hiphop好きのBen案件なんじゃないかと思うぞ。

お知らせ

運営しているFacebookグループで、最近ちょこちょこと勉強会を開くようになってきました。オンライン上での知識だけでなく、起業家/エンジニア/VCのリアルな繋がりが生まれるグループに少しずつ変えていこうかと思っています。B2Bまわりのスタートアップ界隈にご興味のある方はぜひ。
B2B Tech Research


TOP of ベンチャーキャピタル Andreessen Horowitzの投資実績(2016年1月編)


1ヶ月で1年分のスキャンダルが発生した芸能界を尻目に己の進捗の無さに辟易とする最近ですが、我らがa16z先生は年初からしっかり働いています。フォローオン中心ですがB2Bが多かった1月の投資一覧、早速御覧ください。

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Skydio(シリーズA投資)

ドローンの自律飛行制御ソフトウェアを開発。ちょうど1年前にa16zからシードで投資を受けていますが、それ以来Webサイトは何も変わっていないしメディアの記事にも載っていないというストイック&ステルスな状態で開発を行っている模様。

Cumulus Networks(シリーズC投資)

Software Defined DataCenterを実現するネットワーク機器用のLinux OSを開発するスタートアップ。データセンターの負荷をネットワークレイヤで制御することで初期&運用コストを削減できるテクノロジーを持っているとのこと。マーケティングにあたっては各国でパートナー戦略を取っており、日本ではCTCなどが販売代理を行っている模様。それ経由なのか分かりませんがIIJが導入企業だったりします。

Foursquare(シリーズD投資)

ここ数年は低迷と迷走が続いてきた印象のあるご存知Foursquareですが、a16zやDFJ Growth、Morgan Stanleyなどから$45M調達しています。前回のラウンドと比較するとバリュエーションが半分以下とも言われている非常に厳しい状況となっていますが、CEOを交代して企業向けビジネスに注力していく方向のようです。

Everlaw(シリーズA投資)

弁護士向けのコラボレーションツールを開発する2010年創業のスタートアップ。もともとは身内からの出資と利益の再投資で成長してきましたが、a16z投資担当のSteven Sinofsky氏が今回を期にボードメンバーに入っています。Everlawは大量のドキュメントに囲まれる弁護士事務所向けの業務効率とチームワーク向上を目的としたツールで、具体的にはメール、PDF、Excelなど大量のデータから任意の書類を横断で検索したり、それをチームに共有できるサービスとなっています。2016年はこんな感じのバーティカルSaaSの調達が増えそう。

Inster Logic(シリーズD投資)

クラウドアプリを高速に配信するCDNを開発。今回はa16zはじめオーストラリア最大の通信キャリアであるTelstraのCVC等から$45Mを調達しているわけですが、前回は2015年5月に$43Mの調達だったので結構短いスパンで刻んでますね。主なクライアントはThe Washington PostやストックフォトのShutterstock、Office DEPOTなどなど。

Jopwell(シード投資)

黒人、ヒスパニック、ネイティブアメリカンなどの就職&インターン支援サービス。利用企業にとってはダイバーシティ促進になるリクルーティングプラットフォームなわけですが、Co-investorに”Magic Johnson Enterprises”という「おや?」と思う名前が。全く知らなかったのですがNBAのレジェンドであるMagic Johnsonは引退後、実業家、というか投資家になっていたのですね。スポーツや飲食など手広く投資していて、Crunchbaseを見る限り、スタートアップへの投資は今回が初の模様。

Pindrop(シリーズC投資)

電話の音声や発信地、番号等々のデータを分析することで電話詐欺防止のサービスを保険、小売、銀行、政府向けに提供するスタートアップで今まで3億6,000万コールの詐欺チェックを行ったとのこと。この手のセキュリティスタートアップはa16zの好むところであり、シードから今回のシリーズCまで毎回フォローオンを実施しています。2011年の創業から累計で$122M集めているところを見るとa16zのセキュリティ案件ではTaniumの次くらいの成長スピードな気がします。

運営中のFacebookグループ(B2Bスタートアップ情報を積極的に共有中)

TOP of ベンチャーキャピタル Andreessen Horowitzの投資実績(2015年12月編)


新年明けましておめでとうございます。2016年も中の人に見つかるまでa16zの投資先をウォッチをしていく所存です。ホリデーシーズンの12月は働かないイメージの強いUSのVCですが、我らがa16zは力強く渋めの5社に投資しています。「渋め」ということは、そう、PVが伸びないやつです。

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TOP of ベンチャーキャピタル Andreessen Horowitzの投資実績(2015年11月編)

Gigster(シリーズA投資)

アプリ開発のクラウドソーシングとAIが組み合わさったサービス。アプリのアイディアをGigsterに送ると、Gigster側でプロジェクトのプランニング、保有しているコードとワーカーの組み合わせを行い完成済みのアプリを納品してくれる。聞いた所によるとタスク、コード、人員を作配するエンジンが非常にイケてるらしい。ちなみQuoraを見るとGigsterを使ったユーザーの評価は上々な模様。(回答者にはステークホルダーも多いので割り引いて見る必要はあるけれど)

Platfora(シリーズC投資)

企業内の大量データ視覚化するBIツールを開発するスタートアップ。Webサイトに記載されているタグラインが”The most complete platform on the planet”というスケール感を感じるサービスですが、シティグループやディズニーがクライアントとのこと。競合はSAP BusinessObjectsやIBM Congos、新興のTableauなど。年間100%で売上成長しておりフルタイムの従業員は150名ほどいるらしい。

ItsOn(シリーズD投資)

通信キャリア向けのアプリ販売プラットフォームを開発。アップセルニーズの強い通信キャリアに対し、契約者がスマホアプリを購入できるプラットフォーム、サブスクリプション決済機能、ペアレンタルコントロール、テザリング制御、ローミングの補助等々を提供。今日ははAmdocsやOperaなど。

Factual(シリーズB投資)

Adsense開発者のGil Elbaz氏が2007年に創業したスタートアップ。Facebook、Foursquareなどから提供を受けた地域情報を集約し、ロケーションベースのターゲティング広告を行いたい事業者やエージェンシー向けにサービスを提供。Enterprise向けにはGISも提供しておりTastemadeやMastercardがクライアント。

Oration(シリーズA投資)

USでは処方薬は年間370億ドルの市場規模ですが、保険制度や処方薬デリバリー方法の違いから、処方薬を受け取る薬局によって薬の金額に違いがあったりするらしい。Orationは従業員の治療歴や個人情報から処方薬をWebで安価に購入できる企業向けサービスを提供。クライアントは人事ERPで上場しているWorkdayなど。今回のラウンドはDFJ VenturesがリードでGoogle Ventures、Data collectiveも共同投資を実行。

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日本でB2B/Enterpriseのサービスを始めるときに考えるべき市場選択というか勝負の切り口



PCからスマホへのデバイスシフトによる特需やキュレーションメディアラッシュも一段落したことで、スタートアップのテーマとして実業×ITやB2Bの領域に注目が集まってきています。

TheBridgeでひたすらB2Bスタートアップの調達動向を追いかけてきたお陰で、なんとなく日本国内でB2Bスタートアップを立ち上げたりサービスを始める際に念頭に入れておいた方が良いなぁと思うことがまとまってきたのでメモがてら。「どの領域に注目していますか?」と聞かれる質問の直接的な答えにはならないのだけど、以下のアプローチで勝負するB2Bスタートアップを見つけると寄り目がちになります。

切り口①市場性と優位性のあるテクノロジーで勝負する

競合や代替手段を思い浮かべたとしても自社以外に選択肢が無いようなテクノロジーを武器にサービスを展開しているところは当然だけど改めて強いなぁと。最近だとDeep Learningがかなり盛り上がってますね。自分にそのバックグラウンドがあるかもしくは仲間を集められるか次第だけど、圧倒的に高いテクノロジーを持っていることが大きな優位性を持つのは当然だしTech Startupならそうあるべき。

切り口②従来比10倍のUXを提供する

UXの良し悪しがユーザー獲得に大きな影響を与えるB2Cサービスと比較すると、導入意思決定軸の中でUXのプライオリティがそれほど高くないB2Bサービスは進歩が遅くその差は広まるばかり。Slackを代表例に従来型のツールより圧倒的に高いUXを提供することで急成長する領域は全然あるような気がするので、勝負の切り口としては考えてみるのもいいかも。

ただしUX切り口の勝負は「ユーザーと導入意思決定者の距離が近いこと」が大事な条件なので全社で利用するサービスより特定の部門が使うものに限定されるサービスになりやすい。そうでない場合は「UXによる改善効果>スイッチングコスト」の証明が必須で啓蒙営業をせねばならずリードタイムが伸びてしまうので低単価サービスだとちょいと微妙かも。で具体的に10倍UXってなんぞやという話だけど「モバイルフォーカス」や「自動化」「働き方の変化」とかこのあたりはキーワードに入るはず。

切り口③キャッシュポイントをずらし面を一気に抑える

サービスの提供価値自体に課金することが一般的なEnterpriseシステムですが、キャッシュポイントをずらすことで急成長したZenefitsのやり方は結構な衝撃を受けました。人事ERPを無料提供することで一気に面を押さえ、保険料で稼ぐZenefitsのモデルは「そのやり方があったかー」と思えるB2C的な戦い方なのでこのフリーミアム方式を他の領域でできないか考えてみるのもいいかも。

守りより攻め

これは切り口というか個人的な好みなのですが、使うことで良い人が採れたり売上向上に繋がる等、自社の成長に繋がるサービスを「オフェンス型」、オペレーションコストを下げることができるサービスを「ディフェンス型」と呼ぶとすると、オフェンス型の方がアップサイドが大きく、「期待」にお金を払ってもらいやすい(気がします)。

ディフェンス型は導入により削減できるコストが対価の最大値であることに加え、人一人分の仕事を削減しても日本ではレイオフとセットになり難い。ただし導入し誰の効率を上げるかによってコスト削減なのか投資なのかが分かれることもあるので、結局誰の何の問題をどう解決するのか、作ろうとしているプロダクトやビジョンは仲間やユーザーを惹きつけるものなのか、結局はそこが大事だよなぁと改めて。

ということで

久々に考察っぽい記事を書きましたが海外B2Bスタートアップネタを中心に投稿する研究グループを作ってるので興味ある人はぜひご参加ください。

B2B Tech Research

日本と海外は当然ながら商慣習が異なるため安易なローカライズには注意が必要ですが、まだB2B、特にEnterpriseはまだまだタイムマシンが効きやすいのでその辺りもご参考になれば。


photo credit: BigOmaha11_10956.jpg via photopin (license)